荒木直紀 JEC理事
2015.9.15

夏休み直前の1学期末のある日、小学6年生の孫のMが右手の甲を大きく腫らして帰ってきたそうです。
母親である私の娘はビックリして
「その手、どうしたの!」と聞きましたが、孫は「うん、ちょっとね」と言ったきり
何も話そうとしなかったそうです。
 
ところが、その日の夜、Mの担任の先生から「M君は大丈夫ですか?」と電話があったそうです。
娘は「Mが何も話してくれないので、何があったのか分りません」と答えると、
先生は、「放課後の掃除の時間に、同じクラスのK君が、職員室に来て、
Mが僕にゴミを投げつけた」と訴えて来たので、先生は、すぐに教室に行き、
M君に厳しく注意しました」と説明したそうです。
 
先生から注意された「すぐ後」で、Mは突然教室の壁を思いっきり拳固(げんこ)で
パンチしたそうです。
「Mの手は、見る見る間に腫れてきて、先生は急いで保健室へ連れていきましたが、
保健師はすでに帰宅していたので、そのままMを家に返しました。でも、手のことが
心配で、自分も厳しく言いすぎたと思い、電話しました」とのことでした。
 
電話の後で、娘はMに先生からの電話の内容を話し、Mがなぜ壁にパンチしたかを詳しく話すように促したところ、
ようやく喧嘩になった事情を話し出したそうです。
 
「掃除中にKがA君をからかい出し、A君が我慢しているのを見かねて、
MはA君を助けたくて、Kにゴミを投げつけた…」ということです。
「Kは、自分の悪いことを棚にあげ、担任の先生(20代女性)に言いつけに行き、
先生も一方的に僕を叱りだした。元々、先生は、直ぐに感情的になって一方的に
僕の言い分なんか聞こうとしないから、何を言ってもしょうがないと黙っていたが、
悔しくて、悔しくて、壁にパンチしたんだ」…とのことでした。
 
孫のMは、クラスでも断トツに小さい方で、A君もK君も自分より頭一つ以上背が高く、  
しかもA君は柔道をしているので、Kを投げ飛ばすことなど簡単だが、
A君はKにケガをさせてはいけないし、しかも柔道を学んでいるというプライドがあり、我慢する子供です。
そのため、以前からKはA君をからかっていました。
それ以外にも、時々Kは女の子にもイジワルをしていたようです。
孫のMは正義感が強いので、すぐにKのイジメを止めさせようと
このような行動に出たのです。
 
孫は小さいのに活発で、クラスでも目立つ存在ですが、
5年生から担任になった先生があまり好きでなく、
授業をきちんと聞いていないことで、
先生も孫に何か悪い先入観を持っているのではないか…と
娘は以前から危惧していたようです。
 
娘はMに
「先生が聴いてくれないなら、直接校長先生、副校長先生に訴えなさい。」と言いました。
Mは「そこまでしたくないよ」とそのままになってしまいました。
結果、孫の悔しい気持ち、先生に対する不信感を残したまま、
夏休みに入ってしまいました。
 
一方8月に、私は練馬区の青少年育成委員として
小学4年生から6年生の75人を連れて長野県にキャンプにいきました。
2日目に河原で水遊びをさせていた時に一人の女の子(B子)が突然泣き出したので、
訳を聴くとCさん(女子)が石を投げて、それが自分の顔に当たったとのことでした。
 
幸い怪我はありませんでしたが、Cさんに事情を聞こうとしたところ、
Cさんの班の班長(6年生女子)がその班の全員(8名)を集め、
「Bさんに石が当たったのはCさんが悪いんじゃない。班皆の責任だから、
皆でCさんに謝ろう」と言い、Cさんに謝りに行きました。
 
皆から謝られたCさんはびっくりしましたが、素直に嬉しく感じ、
また河原遊びを再開しました。
この班長の行動に我々指導員はとても感動しました。
 
読者のみなさん、この学校の先生と6年生の女の子の言動を比較して、
どう思いましたか?
 
このように6年生の子供でも相手(Cさん)の気持ちを察知して立派にリーダーシップを発揮したのに、学校の先生がきちんと子供の心を読めないことにとても失望しました。
数年前の和歌山での中学生の自殺、そして今年岩手の中2の男子の自殺など…
子供の自殺が目立って増えてきています。
 
全て学校の先生、とりわけ担任の先生の生徒の心の声を聴く
“傾聴”が出来ていないことから起きた痛ましい出来事と私は確信しています。
小学校、中学校の先生には、人生で一番心が不安定になる時期である生徒に
“傾聴”をしっかり学んで、実行してほしいと切に願っています。